大樹寺は浄土宗の寺院で、文明7年(1475年)に松平氏四代親忠によって建立、勢誉愚底上人を開山とする。七代松平清康によって七堂伽藍・多宝塔が造営された。
大樹寺は徳川将軍家および松平家の菩提寺で、境内には松平八代の墓や清康が建立した多宝塔などがある。また宝物殿には徳川将軍家の等身大の位牌が並べられている。
永禄3年(1560年)今川義元と織田信長が戦った桶狭間の合戦で、松平元康(後の徳川家康)は今川方として出陣していた。この戦いで大将の今川義元は討死して総崩れとなると、元康はわずかな近臣を率いて大樹寺へ逃れてきた。覚悟を決めた元康はここで自害しようとしたが、ときの住職登誉上人の『厭離穢土 欣求浄土』の教えを聞いてこれを踏みとどまったという逸話がある。