東海道に位置する伊勢国は、延喜式の格付けでは大国・近国である。
伊勢国府は鈴鹿市と亀山市の境付近にある長者屋敷遺跡と呼ばれていた遺跡が政庁跡であることが確認された。この政庁跡は奈良時代中期のもので、政庁の建物は屋根が葺かれ、柱に丹塗りが施されていながら、基壇の化粧が施されておらず、周囲の官衙の建物も一部に残るのみで全体に拡がっておらず、国府としては完成していなかったと推測されている。
奈良時代中期の政庁はこの長者屋敷遺跡であるが、そこから移転して奈良時代後期、平安時代の国府はまだ見つかっていない。
伊勢国府は田畑の中に遺跡が眠っており、北の県道にわずかに道標が出ている。県道から南に入った所に駐車場があり、案内板も設置されている。